令和3年4月18日(日)、グランドオープンしたばかりの越前市役所新庁舎にて、同市男女共同参画センターあんだんて20周年記念フェスタに参加し、武生高校生の研究発表を応援してきました。
盛況の会場に加え、全国の約300名もの方々がリモート視聴されたそうです。
武生高校PTA OG・OBの河端美嘉さん、堀内幸路(令和2年度武生東高校PTA会長)さんも、スタッフとして運営にあたられ、また、元・武高PTA広報部長(筆者の前任)の畑カメラマンも、同日、ともに研究発表した武生東高校さんの撮影に来場し、旧交を温めました。
テーマはSDGs すなわち Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)。
東大名誉教授・女性学(ジェンダー研究)の創始者・上野千鶴子氏による、日本の女性を取り巻く環境の変遷と今後の課題を密度濃くまとめた素晴らしい講演の後、武生高校・武生東高校・仁愛大学の順で、学生さん達によるSDGs研究発表が行われ、上野先生から直々に研究発表の講評をいただきました。
武生高校からは探求進学科2年のお2人がそれぞれ発表。
1人目の杉森さんは、セクシャルマイノリティへの周囲の理解がまだまだ足りないことの分析と、リアルな実情を踏まえた上で自分たちに何ができるかの考察を提示しました。身体的性、心の性、性的指向の全てが合致した場合に限りマジョリティと呼ばれるとの説明からは、このうちたった1つが多くの人とは違うというだけで過度な負荷を抱えざるを得ない現状の厳しさを痛感し考えさせられました。
2人目の堅田さんは、取り上げるに足りないほどの属性が差別のきっかけとなってきたことに警鐘を鳴らし、差別をなくすのに必要な多くの視点を示唆しました。運動が苦手な男子も腕相撲が男子より強い女子もいる中、体育で走らされる距離が男女で一律に違うという「従来、当たり前のこと」にも、疑問を投げかけました。普通の人ってどんな人?というアンケートから、「包丁で心臓を貫かれたら死ぬ人」との回答を紹介し会場の笑いを誘いましたが、皆それぞれに個性を持つ中、本当に皆に共通なことを突き詰めると行きつく所を端的に示した言葉に、何かを「ハッ」と気付かせられました。
自分の子どもの世代から直に、多様な性のあり方の理解を深めるために生殖や子育て以外のことも含めた性教育を小学校から始め、その後の人生でも知識の「アップデート」を続ける必要があるなどと提言されると、迫力があります。
講評は、よくある、大先生のお言葉を受け身の姿勢でたまわるものではなく、先生から色々なことを聞きまくられ、リモートであることを忘れさせるライブ感あふれるものでした。
学校でアンケートを取ったとはいえ、今回のようなテーマでは、友達にも言えないこと、匿名のアンケートにも書きたくない人の潜在的存在を忘れてはならない。差別撤廃の対策を探るにあたり、理解の発端となるスクールカウンセラーがいても、カウンセラーの部屋に入る所を目撃されたくなくて足が向かない実例もある。そこまで想定できているか?といった、研究の現場に一緒にいるかのように親身なご指摘もありました。
福井県の地域の持続可能性も当然、話題となり、進学校である武生高校が、どうしても県外に多くの人を送り出す役割をはたしてしまうことも認めつつ、福井は、将来、皆さんが戻って来て是非とも盛り上げて欲しい良い所との温かいお言葉もいただきました。上野先生、おろしそばが大好きだそうです。
発表者のお2人、お疲れ様でした。お2人はきっと、会場で大きな糧を得て、学校に、ご家庭に、多大なフィードバックをもたらしてくれることと思います。
PTAも、生徒さんの旺盛な探究活動を応援し続けてまいります。
(令和2年度会長・令和3年度顧問 谷)